院生のあの人

卒論で学校へ。
考察を仕上げて先生に見せる予定。
大体終わってはいたけど、あと一つ付け加えておかねば、と相棒とパソコンの前で打ちながら話し合う。

5時に先生に見てもらう約束だったので、部屋に行くと誰かいるみたい。
ん？まだ他の4年生が終わってないのかな？
今の時期、卒論の担当の先生の所には、皆自分の進み具合を見てもらおうと殺到するのだ。

どうしよ、ノックしていいのかな？
とりあえず迷いつつノックする。
先生の
「はい。」
と言う声と、女の人の
「はい。」
と言う声が同時に聞こえる。
この声・・・・・・・。
ドアを開けるとやっぱあの人だった。

それは毎週見かける院生のお姉さん。
うちらが先生の所に行く度に、けっこうな確率でいるのだ。

「あ、どうぞどうぞ。」
と言いながら席を立って出て行くお姉さん。
何か話の邪魔しちゃったかなあ？
でも予約の時間だしね。

先生に見せてダメ出しくらって、部屋を出る。
考察は大体これでいいから、序論の大枠を作って来いと言われた。
はあ、序論ですか・・・・。

序論を作るには、先生から渡された論文以外にも、調べなきゃいけない事がいくつか出てきた。
けどその本がなかなか見つからない。
相棒と二人で図書館で検索しても、これ！っていうのが見つからないのだ。

しょうがないので先生に何かいい本ないか聞こうと思って、また部屋に行く。
そしたらさっきのお姉さんがまたいたのだ。
ちょっとビックリ。
うちらが入っていくと、
「じゃあ○○買ってくるね。」
と出て行った。

先生に
「あの人よく来ますよね。」
と言うと、
「うん、毎週来るんだよ。」
と先生。

うちの大学から都立大の院生になったというお姉さん。
都立大での担当教授がうちの大学に講義をしに来てる為、その授業をモグリで聴きに来てるらしい。
で、そのついでに、うちの先生に会いに来てるらしいのだ。

「勉強熱心ですね。」
と言いつつ、何か複雑だった。
普通毎週会いに来るか？
しかも今うちの先生が担当教授じゃないんでしょ？

「実はあの人先生の事好きなんじゃない？」
と、こっそり相棒に言うと、
「ありえる。」
と相棒。

実はこのお姉さんがまだうちの学生だった頃、一時期「あの人は先生の彼女じゃないか！？」ってな話が出てきたのだ。
その頃から、よく先生の部屋にいたからね。
先生の車から降りるのも目撃された事あるし。
ああ、あやしい。

けど、正直今の時期に入り浸らないで欲しい、と思うのだ。
先生の予約取るのも大変なんだから。
部屋に誰かいたら、入るの遠慮するし。

・・・・・何か私嫉妬してるみたいだな（笑）